定期レポート2013年1月

ソフィア・アイ :リーダーシップの原型

 

つい先日(1/15)、インドネシアのマハティール元首相の独占インタビューが、 朝日新聞朝刊の「オピニオン」欄に載っていました。
87歳、首相を退任してから10年。
しかし、現在でも首都クアラルンプールの高層ビルにオフィスを構えて政治活動 をしているようです。写真も若く、鋭い眼光が印象的です。

 

いうまでもなく彼は、首相在任時「ルック・イースト(日本に学べ!)」を唱え、 貿易立国としての自国のビジョンを、見事に戦後復興を遂げた「東洋唯一の先進 国・日本」に映し出していたのでした。
記事の中で、マハティールはこう述べています。

 

 −「(日本はグローバリゼーションを見境なく受け入れ、自国の文化等と)調 和させることに失敗した」
  −「首相がころころと変りすぎ、問題を解決できない」
  −「文化や倫理、日本を発展させた価値観。その多くはもう日本にはない」
  −「われわれが見習ったのは、高い職業倫理で戦後の復興を果たした日本だ。 米国の影響下にある日本ではない。…われわれは東洋の人間だ。(東洋の中 に)敵を作るのではなく、自分たちの問題は自分たちで解決すべきだ」

 

まったく耳が痛いです。
上に言われていることは、対米追従派が多い日本の政治・経済関係者の大半は、 恐らく同意できないでしょう。ところが、こうしたことは、ちょっと「外」の視点で 見れば、むしろ当たり前なのす。マハティールは、それをズバッと言っています。
さらに、自国の矛盾を問われての答が、大変興味深いものでした。

 

 −「(与党が長期政権を続け政権交代がないことに対して)与党がうまくやって いる時に代える必要はあるのか。…日本は政権交代で何を得たのか。…オバマは 『チェンジ』と言ったが、4年経っても、グアンタナモ基地さえ閉鎖できないではないか」
  −「(マレーシアの民主主義の成熟度を問われて)民主主義にはいろんな解釈が ある。…国民は野党に投票することはできる。だが、その対価は支払う必要が ある。…われわれには民族問題があり、対立をあおる報道は、国の安定を損なう。報道の自由は、絶対的なものではない。限界がある。英国さえ報道規制を検討 しているではないか」

 

はっきりと分かることは、マハティールには、大半の日本の政治家が陥っている “ポピュリズム(大衆迎合)”の発想は片鱗もないということです。政治家・リーダー として、まっすぐに国の課題を見据えて思考しています。
ここからは、考えるべき人が考え、決断すべき人が決断し、実行すべき人が最後まで やり遂げる、いわばリーダーシップの原型を見て取ることができるように思われます。

 


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